【養育費と学費】塾・習い事、私立高校・大学・専門学校の授業料・入学金などは養育費に含まれるか?

子供がいる夫婦が離婚する場合に問題となるのが、養育費にどのような費用を盛り込むかです。
特に塾の費用や、私立学校の費用、大学や専門学校の進学した場合の費用等は、含めるか含めないか、夫婦の間で争いになることが少なくありません。
そこで今回は、これらの費用が養育費に含まれるか、含まれるための基準はどのようなものかなどについて、解説します。

1 養育費とは?学費に対する考え方

養育費とは、子供が経済的・社会的に自立するまでに必要な日常生活に関する費用を指し、子供の監護をする親(監護親)からもう一方の親(別居親)に対して請求することができるものです。
養育費に含まれるのは、衣食住費や教育費、医療費とされています。
学費は教育費に含まれるため、養育費として支払われるものに含まれます。
裁判所が調停や裁判において用いる養育費算定表においては、学費は公立学校における金額が基準となっています。
また、養育費は、経済的社会的に自立していない「未成熟子」に対するものです。
後述するように、「未成熟子」=「未成年者」ではなく、旧民法時の成人年齢である20歳まで支払われるのが一般的です。

2 18歳成人による養育費の支払い期間への影響は?

先ほども述べたように、「未成熟子」は「未成年者」と同義ではなく、「経済的・社会的に自立しているか」という観点から、「未成熟子」かどうかが判断されることとなります。
そのため、民法改正により成人年齢が20歳から18歳に引き上げられたことが、養育費の支払期間に与えた影響は大きくはありません。
むしろ、高学歴化に伴い、養育費の支払期間は伸長する傾向にあります。

3 私立高校に進学するケース

子どもが私立高校に進学する場合に、その学費を養育費に含めることができるかどうかは、しばしば争点となる問題です。
子どもの監護親と別居親が合意することができれば、もちろん、養育費に私立学校の学費分を上乗せして養育費の金額を取り決めることができます。
しかし、監護親が私立学校分の上乗せを求めているにもかかわらず、別居親がこれを拒む場合には、裁判所が判断を下す必要があります。
このような場合には、①離婚前から子供が私立学校に通っていたか、または、離婚前に別居親が私立学校に進学することを認めていたか、②監護親と別居親双方の経済状況などの観点から、判断がされます。
離婚前から子供が私立学校に通っていたケースや離婚前に私立学校に進学することを認めているケースでは、その学費の一定範囲で負担することが想定されていたといえるため、養育費に含めることが多いといえます。

4 塾・習い事・予備校など学校教育以外の費用

養育費における学費とは学校教育における費用を指すので、原則的には、塾・習い事・予備校の費用は養育費に含まれません。
しかし、先ほどの私立学校の学費と同様、監護親と別居親の間で、塾や習い事、予備校の費用を養育費に含めることについて合意ができているのがあれば、当然のことながら含めることはできます。
一方、両者の間でこの点について対立が見られる場合、裁判所としては、上記の費用を養育費に含めることについては消極的な判断をすることが多いといえます。
ただし、常に否定されるわけではなく、①監護親と別居親双方の経済状況、②子供を塾や習い事、予備校に通わせる必要性、③離婚前に別居親が塾や習い事、予備校に通わせることを認めていたか、④別居親が子供のころ、塾や習い事、予備校に通わせていたかなどの観点から、認められる場合も少なからず見受けられます。

5 大学・専門学校の学費

子供が大学や専門学校に進学した場合に、その学費を養育費に含めて算定するかも、高学歴化が進んでいる近年特に問題となります。
特に3年制の専門学校や、大学は在学中に子供が20歳を超えてしまうため、一般的な養育費算定の基準では認められないことになってしまいます。
一方で、大学や専門学校通学中は、子供は未だ「未成熟子」ともいえるため、一律に養育費に含まれないとすることもできません。
そこで、大学や専門学校の学費については、①監護親と別居親双方の学歴(大学や専門学校に通っていたか)、②離婚前から子供が大学や専門学校に通っていたか、③離婚前に別居親が子供が大学や専門学校に通うことを認めていたか等の観点から、養育費に含めるかどうかが決められることとなります。

6 入学金などの費用

養育費は、先に述べたとおり、日常生活における費用であるため、入学金のような一時的に支出が必要となる費用は一般的に含まれません。
また、離婚の時点では、将来子供がどの学校に進むのかわからないため、入学金の金額もわかりません。
しかし、一方で、子供が上の学校に進めば進むほど、入学金は高額となり、監護親のみの収入で賄いきれないことも少なくありません。
そこで、離婚調停や養育費請求調停においては、調停条項に、入学金や子供が病気になったときの通院費や入院費等の一時的な支出金については、都度、監護親と別居親で協議して定めることを取り決める内容が盛り込まれることが少なくありません。

7 協議がまとまらない場合弁護士に相談

養育費に含めるものについて、相手方と協議がまとまればそれに越したことはありません。
しかし、実際には、監護親と別居親それぞれのこどもに対する考え方や経済状況により、協議がまとまらないことも少なくありません。
このようなときには是非弁護士にご相談ください。各費用が養育費に含まれるかどうかを判断する指標に基づいてアドバイスできるだけでなく、相手方との交渉を行い、有利な結果を導き出すことも可能です。
当事務所には、養育費の問題に詳しい弁護士がそろっております。どうぞお気軽にご相談ください。

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