親権をとるにはどうすれば良いか(前編)

親権とは?

親権とは、子どもの財産を管理したり、子どもの生活の面倒を見る権利のことをいいます。

戦前、親権は、親のための権利だと考えられていました。

しかし、現在は、このような考え方はしません。親権とは、子どもが幸せになるための、権利であると捉えられています。

親に、育ててもらうための権利、それが親権だと考えて差し支えないと思います。

子どもが幸せになるための権利ですので、子の利益の観点から親権者が決められるべきとされています。

協議離婚の場合、親権者は話し合いで決定できます。

話し合いでまとまらない場合は、調停、審判を申し立てて親権者を決定することになり、それでも決定しない場合は、最後は、判決によって、決定されることになります。

裁判所は、親権者の判断基準をどのように考えているのでしょうか。

 

調停・審判の親権者の判断基準

過去の裁判例を分析してみると、

  1. 現在子の面倒を見ている
  2. 母親が優先する
  3. 子に選ばれる
  4. 家庭環境を整える
  5. 兄弟不分離
  6. 面会交流

が判断基準になっています。

前編では、上記①、②について論じ、③~⑥は後編で論じます。

現在子の面倒を見ていること

現在、子の面倒を見ているという事実は、大きな意味を持ちます。特に、子どもが幼稚園や学校に通っていて、転校等が生じる場合は、現実に子と暮らしている者が有利といえます。

現在の監護状況が良ければ、これをあえて変更する理由はないということです。

現在子の面倒を見ているのが父親であった場合、後記の母親優先の原則と衝突するケースがありますが、過去の裁判例においては、現在子と暮らしているということを重視し、二男7歳の児童と共に暮らしていた父親の親権を認めた(長男の親権は母親)ケースが存在します。

現在子の面倒を見ているということは、裁判所はかなり重視する傾向にあるといえます。

このようなこともあってか、別居中に、子の取り合いが起こる場合もあります、

但し、実力行使で親が子を連れ去ったケースでは、裁判所は、子の生活が安定していたとしても、監護の実績として認めない傾向が強いです。

むしろ、相手方の弁護士から、このような者に親権者となる資格はないと主張される可能性があります。

親権をとりたい場合、子どもをおいて家を出たりしては行けません。

親権争いでは母親有利か

年齢別に解説します。

一般的には、子が10歳以下である場合は、親権者は母親が指定されルケースが多いです。特に、乳幼児の場合は、乳幼児と母親は一緒に生活することが通常であると考えられています。

近年は、父親と母親の役割形成に変化が見られ、母親優先の原則は見直されつつあるとも言われていますが、特に子が幼い場合は、きめ細やかに子の面倒を見ることができるのは、多くの場合母親であることから、まだまだ母親優先の原則が生きています。

(「後編」へ続く)

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