離婚調停の申立てをお考えの方へ

「離婚調停はどうやって申し立てればいいの?」
「1人で離婚調停に出席するのは不安」

相手と直接話し合っても離婚条件が決まらない場合や、相手が離婚に応じてくれない場合には「離婚調停」を申し立てる必要があります。

離婚調停は話し合いによって進められるので、専門知識がなくても対応しやすい手続きです。ただし知識がないまま取り組んで不利になってしまうケースも多いので、申し立てる前に情報を集めておきましょう。

今回は離婚調停の流れや申立手順、有利に進めるための方法を弁護士がお伝えします。
離婚調停の申立を検討されている方はぜひ、参考にしてみてください。

1.離婚調停の手続きの流れ

離婚調停はどのような流れで進んでいくのか、ステップをみていきましょう。

STEP1 申立をする

まずは離婚を希望する側が、家庭裁判所で離婚調停を申し立てる必要があります。
申立書と添付書類、印紙と郵券を提出すれば、申立を受け付けてもらえます。

STEP2 呼出状が届く

申立が受理されると、当事者双方へ家庭裁判所から呼出状が届きます。
呼出状には家庭裁判所の場所や日時、担当部署や連絡先の電話番号などが書いてあります。

STEP3 家庭裁判所で調停期日が開かれる

呼出状に書かれた日に家庭裁判所へ行くと、調停期日が開かれます。
当事者はそれぞれ別々の待合室で待機し、調停委員から交互に呼び出されるので、お互いに顔を合わせて話し合うことは原則としてありません。
自分の意見は調停委員に伝え、相手の意見は調停委員を介して伝えられます。

STEP4 調停期日が月1回程度、開かれる

通常、調停は1回ではまとまらないので、数回期日が開かれます。
頻度は標準的に月1回程度です。

STEP5 話し合いができれば調停成立

何度か期日を開き、離婚することや離婚条件に合意できれば調停が成立します。
調停成立日の1~3日後に家庭裁判所から自宅へ調停調書が送られてくるので、役所へ持参して離婚届を提出しましょう。なお離婚届は調停成立後10日以内に提出しなければなりません。

STEP6 話し合いができなければ不成立となって終了

何度期日を重ねてもお互いに合意できない場合や相手が出席しない場合には、合意の見込がないとして調停は不成立となって終了し、離婚はできません。
離婚したいなら離婚訴訟を申し立てるかあらためて相手と協議するか、あるいは時間をおいて再度調停を申し立てる必要があります。

2.離婚調停の申立方法

2-1.申立書を作成する

離婚調停を申し立てるには、調停申立書を作成しなければなりません。他にも事情説明書、進行に関する照会回答書、子どもがいるなら子についての事情説明書なども作成する必要があります。各地の家庭裁判所のサイトに書式がありますので、ダウンロードして記載例を見ながら作成しましょう。
書き方がわからない場合、弁護士へご相談いただけましたらアドバイスできますし、代理作成も可能です。

2-2.必要書類を準備する

離婚調停を申し立てる際には、戸籍謄本が必要です。
年金分割を求めるなら年金分割情報通知書も必要なので、事前に年金事務所へ申請して取得しましょう。

2-3.家庭裁判所へ提出する

離婚調停は、相手方の住所地の家庭裁判所へ申し立てなければなりません。
書類が揃ったら、家庭裁判所へまとめて提出しましょう。
1件について1,200円分の収入印紙が必要で、連絡用の郵便切手も一緒に提出する必要があります。郵便切手の内訳については事前に申し立て先の家庭裁判所へ問い合わせて準備しましょう。

3.離婚調停の特徴

3-1.結論を強制されない

離婚調停は話し合いの手続きなので、調停委員や裁判官から結論を強制されることはありません。調停委員から強く説得されても、納得できなければ応じるべきではありません。

3-2.合意がないと解決できない

調停は、お互いが合意しないと成立できません。
相手の主張が不当であっても強制的に撤回させられませんし、出席しないからといって相手に不利な結論を下すこともできません。

3-3.調停委員の役割が重要

離婚調停を主導するのは調停委員です。
調停委員に肩入れしてもらえると、相手を強く説得してもらえたりこちらの言い分に耳を傾けてくれたりするので、離婚調停を有利に進められる可能性が高まります。
できるだけ調停委員に好印象を与えられるように行動するのが得策です。

4.離婚調停を有利に進める方法

離婚調停をなるべく有利に進めたいなら、以下のようなポイントに注目してみてください。

4-1.事前に準備する

はじめて調停に臨む場合、初対面の調停委員に対してどのように接してよいのかわからない方も多いでしょう。言いたいことを十分に伝えられない可能性もあります。
当日調停委員へ説得的に意見を述べる自信がない場合、事前に以下のような準備をしましょう。

  • 調停委員に見てほしい資料を整理する
  • 言いたいことをまとめたメモを作る
  • 時系列表を作り、今までの経緯が一覧でわかるようにする

期日には資料を忘れず持参してください。

4-2.希望をはっきり伝える

離婚調停は話し合いによって進む手続きなので、自分の希望はしっかり伝えなければなりません。遠慮しすぎると、希望を無視されて異なる方向へと話を進められてしまうリスクが高まります。特に相手の勢いが強く、大げさに話すタイプの場合、調停委員が相手の言い分を信じてしまう傾向もあるので注意しなければなりません。
自分の言いたいことは論理的にわかりやすく、調停委員へ伝えましょう。

4-3.調停委員に感情をぶつけない

離婚調停では、相手による身勝手な主張に耐えかねるケースも多く、どうしても感情的になってしまうものです。
ただ、怒りを調停委員にぶつけてはなりません。調停委員は間に入っているだけで、相手の肩を持っているわけではないためです。暴力的な言動をすると、調停委員に悪印象を抱かれて、かえって不利になってしまう可能性もあります。
怒りや悲しみなどの感情を調停委員に見せてもかまいませんが、「調停委員と相手方は違う」ということを常に認識して対応しましょう。

5.弁護士に依頼すべき状況

5-1.調停申立書類の書き方がわからない

離婚調停を申し立てる際には、申立書や事情説明書、場合によっては住所非開示の希望に関する申出所や送達場所の届出書なども提出しなければなりません。
自分ひとりではどの書類をどうやって作成すればよいかわからない場合、弁護士へ依頼しましょう。弁護士が事情に即した書類を作成し、家庭裁判所へ提出します。
書類を作成する手間もかかりませんし、不備が生じる不安もなくなって安心していただけます。

5-2.調停委員が相手に肩入れしている気がする

  • 調停委員から強く説得されてしまう
  • 自分の意見をまったく聞いてくれない
  • 不利な方向へ進んでいる気がする

こういった印象を抱いているなら、早急に弁護士へ依頼すべきです。調停委員としては調停をまとめるために、「説得しやすい人」側を説得しているかのような印象を抱くことがあります。
自己主張が強くない方、穏やかで気持ちの優しい方、相手に配慮する方が不利になってしまうと感じることもあります。

弁護士がつけば弁護士から調停委員へしっかり意見を述べられるので、ご本人が強く主張できなくても無理な説得に応じてしまう危険はなくなります。

5-3.対立が激しい、DVやモラハラ事案

  • 相手が不倫しているのに不倫を認めない
  • こちらが不倫していないのに不倫を主張されて困っている
  • 財産分与の対象資産を隠されていて、このまま解決するのは納得できない
  • 親権で対立して話がまとまりそうもない
  • 相手の弁が立つので調停委員が説得されてしまっている
  • DVをうけているので1人で出席するのがこわい

不倫の有無や親権などで対立が激しい場合、相手が強硬な場合、DVやモラハラなどの被害を受けていて1人で出席すると危険がある場合には、弁護士へ依頼しましょう。
相手が無茶を言っても弁護士であれば適切に対応できます。そのまま押し切られて不利な条件で離婚してしまうリスクは発生しません。
DVやモラハラ事案の場合、弁護士と行動をともにしていれば安心ですし、裁判所へ申し出て別室調停にしてもらうことも可能です。

5-4.できれば離婚調停をせずに解決したい

調停を申し立てる前に弁護士に相談すべき状況があります。
自分で話すとまともに取り合ってくれなかった相手でも、弁護士が代理人として連絡すると真摯に対応するケースが少なくありません。
できれば調停をせずに離婚協議をまとめたい場合、弁護士を代理人に立てて離婚協議の交渉を進めるのも一つの対処方法となります。

6.弁護士に離婚調停を依頼するメリット

  • 書面作成や手続きを任せられるので、労力がかからない
  • 調停委員を味方につけやすい
  • 納得できない条件を飲まされる危険がなくなる
  • 妥当な条件を確認できる
  • 離婚協議や離婚訴訟も任せられる
  • 精神的に楽になる
  • 冷静に対処しやすくなる
  • 自分では調停委員と話しづらくても、代わりに意見を伝えてもらえる
  • 仕事やその他の急な用事でどうしても出席できないときには、弁護士が代理で出席すれば休むことも可能(ただし原則的には本人も出席する必要があります)

弁護士にはさまざまな取扱分野があります。離婚調停を依頼するなら、離婚案件に積極的に取り組んでいる弁護士を選びましょう。当事務所は茨城県エリアを中心に離婚に悩む方のサポートに力を入れていますので、1人で悩まずご相談ください。

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