離婚条件が決まらない、話し合いがまとまらない方へ

「離婚の話し合いをしても条件に合意できない」といったご相談を受けるケースがよくあります。

  • 財産分与の方法が決まらない
  • 親権者をどちらにするかで争っている
  • 相手が不倫したのに慰謝料を払ってくれない
  • 請求された慰謝料が高額すぎて払えない、払いたくない

後々のトラブルや後悔を防ぐには「納得できる離婚条件」を取り決めておくべきです。

以下では離婚の話し合いがまとまらないときに知っておきたい「決めておくべき離婚条件」や「どうしても話し合いができないときの対処方法」を弁護士が解説します。

離婚時に決めておくべき離婚条件

協議離婚の場合「夫婦双方が離婚することに合意」さえすれば離婚できます。親権者以外の離婚条件を定めるのは必須ではありません。

しかし離婚条件を決めておかないと、離婚後にさまざまなトラブル要因になります。
協議離婚であっても最低限、以下の離婚条件を定めておきましょう。

  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 親権
  • 養育費
  • 面会交流
  • 年金分割

財産分与

財産分与とは、夫婦が婚姻中に形成した財産を離婚時に分け合うことです。
婚姻中に夫婦が協力して積み立てた預貯金や不動産などの資産は、どちらの名義かに関係なく「夫婦共有財産」になります。

財産分与対象資産の例

  • 預貯金
  • 保険
  • 不動産
  • 株式、投資信託
  • 積立金
  • 貴金属などの動産類

財産分与するときには、まずは財産分与対象となる資産を明らかにして適正に「評価」しなければなりません。相手が財産隠しをしたり評価方法で争いが生じたりすると合意形成は困難になります。また財産分与の割合は「基本的に夫婦で2分の1ずつ」にしますが、合意できれば異なる割合にしてもかまいません。

協議離婚で財産分与するときには、「お互いが納得できる財産分与方法」を定める必要があります。

なお夫婦のどちらかが結婚前から持っていた財産、婚姻期間中であっても親などの親族から取得した財産は「特有財産」となり財産分与対象から外れます。

慰謝料

相手の不倫や生活費不払い、同居拒否などが理由で夫婦関係が破綻した場合、離婚時に慰謝料を請求できます。婚姻中に相手から暴力やモラハラを受けていた場合も同様です。

協議離婚の場合、慰謝料の「金額」は夫婦が話し合って決めなければなりません。
婚姻期間や具体的な状況によって慰謝料の「相場」はありますが、相手が納得しなければ無理やり払わせることはできません。

そもそも相手が「不倫を認めない」ケースも多く、条件交渉がうまくいかない可能性があります。

親権

夫婦の間に未成年の子どもがいると、離婚後にどちらが親権者になるか決めなければ離婚できません。

子どもの親権者になると、離婚後に子どもと一緒に住んで衣食住の世話や教育、しつけなどを行います。また子どもの財産管理を行うのも親権者です。

親権者を決めるときには、今までの養育実績や現状の子どもとの関係などから「どちらが親権者になるのが子どもの利益になるのか」という観点から定めましょう。

夫婦の双方が親権を希望すると話し合いは決裂し、協議離婚は難しくなってしまいます。

養育費

親権者にならなかった親は子どもに対する養育費を負担しなければなりません。
養育費には子どもの生活費、医療費、交通費や学費などが含まれます。
基本的には「離婚してから子どもが成人するまで」支払われるべきものですが、話し合いによって「子どもが大学を卒業するまで」などと定めてもかまいません。

養育費の金額は自由に決めてかまいませんが、一般的には「裁判所の定める養育費算定表」を適用します。養育費算定表の相場の金額は、夫婦の収入に応じて計算された金額になっています。
https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html

子どもが私立の学校に行ったり特別に医療費がかかったりする場合、養育費算定表の金額に上乗せして取り決めをしておくとよいでしょう。

面会交流

離婚後に親権者や監護者にならなかった親には「面会交流権」が認められます。
面会交流権とは、一緒に暮らしていない親子が会ったり電話やメールなどによって連絡を取り合ったりして交流する権利です。

民法により、協議離婚であっても離婚後の面会交流方法について定めておくべきとされています(民法766条1項)。
子どものためにもきちんと面会交流方法を話し合って決めておきましょう。

面会交流方法に特段のルールはありません。面会の頻度や時間、場所、方法などは基本的に自由に決められます。

ただし子どもに負担をかけないよう配慮すべきですし、同居親に過度な負担をかけると実現が不可能になります。話し合いによって現実的な方法を定めましょう。

年金分割

年金分割は、夫婦の双方または片方が「厚生年金」に加入している場合、婚姻中に払い込んだ年金保険料を分割できる手続きです。
離婚時に年金分割しておくと、将来お互いが老齢年金を受け取るときに年金額が調整され、高額な方から低額な方へ一定金額が移譲されます。

たとえば専業主婦の方が年金分割すると、将来受け取る老齢年金の受給額が増額されます(反対に相手方である被分割者の受給年金額は減額されます)。

年金分割には「合意分割」と「3号分割」の2種類があり、合意分割の場合には被分割者の合意が必要で、分割割合も定めなければなりません。

合意分割が適用されるのは「3号分割」が適用されないケースです。

  • 平成20年3月以前に厚生年金に加入していた婚姻期間がある夫婦
  • 請求者が3号被保険者でない場合

合意分割が適用されるかどうかわからない方は、弁護士へご相談ください。

離婚条件は公正証書にまとめる

夫婦で話し合って離婚条件がまとまったら必ず「離婚協議書」を作成しましょう。合意ができても書面がなければ、後で約束を保護にされるリスクが高まります。

また単なる離婚協議書では効力が弱いため「離婚公正証書」にするようお勧めします。離婚公正証書とは、公証人が公文書のかたちでまとめてくれる離婚協議書です。離婚公正証書で慰謝料や養育費などについて定めておくと、債務者が支払わなかったときに債権者がすぐに給料や預貯金等を差し押さえて回収できます。
「滞納するといつ差し押さえられるかわからない」状態になるため、債務者としても「支払わなければ」というプレッシャーを感じ、滞納を防止する効果も期待できます。

離婚公正証書はお近くの公証役場へ申し込めば作成してもらえるので、協議離婚の際には多少の手間と費用をかけても必ず作成しておきましょう。

相手と離婚条件で合意できない場合の対処方法

相手と話し合ってもどうしても離婚条件で合意できなければ、以下の手順で対応を進めましょう。

離婚調停を申し立てる

協議が決裂したら、家庭裁判所で離婚調停を申し立てるのがもっともオーソドックスな方法です。
離婚調停では家庭裁判所の「調停委員」が間に入り、夫婦の話し合いを仲介してくれます。
自分たちだけで話し合っても合意できないケースでも、第三者が間に入って調停案を出してくれたら合意できる可能性があります。

ただし調停には強制力がないので、相手が「どうしても条件を受け入れない場合」や「無茶な主張をする場合」「親権について完全に対立している場合」などには合意できません。

調停が不成立になったら離婚訴訟を提起する必要があります。

弁護士に依頼する

自分で相手と話し合っても離婚条件に合意できない場合、調停前に弁護士に代理交渉を依頼するのも有効な対処方法となります。

弁護士は法的な見解を踏まえて「望ましい離婚条件」を整理します。
依頼者の希望を叶えられるように、また離婚後依頼者が有利になる方向で相手に条件提示し、話し合いを進めます。
弁護士が間に入ればお互いに感情的になることもありませんし、相手が無茶な主張をすれば「法律的には通用しない」と説明してあきらめさせることも可能です。

特に以下のようなケースでは、弁護士に依頼するようお勧めします。

  • 相手が不倫しており慰謝料問題が解決されない
  • 財産分与が高額、あるいは多種多様な財産がある
  • 会社経営者や医師など高額所得者の離婚
  • 住宅ローンつきの家があって財産分与方法でもめている
  • 特有財産か共有財産かで争いがある
  • 相手が財産隠ししている

弁護士に依頼すれば離婚公正証書の作成手続きも任せることができて手間がかかりません。

万一離婚協議が決裂したときにも引き続いて離婚調停の代理を依頼できます。一人で調停を行うよりも弁護士が代理人についている方が、調停委員を味方に引き入れやすく調停を有利に進められる可能性が高くなります。

弁護士に離婚問題を依頼するメリット

  • 解決までの見通しを立てられる
  • 適正な離婚条件を知ることができる
  • 離婚協議書や離婚公正証書の作成手続きを任せられる
  • 協議離婚や離婚調停、離婚訴訟の代理を依頼できる
  • 有利な条件で離婚しやすくなる
  • 相手と直接話さなくて良いので精神的な負担が軽減される
  • 相手が真剣に対応する、こちらの意見を通しやすくなる

離婚問題を相談・依頼するなら「離婚に積極的に取り組んでいて」「親身になってくれる弁護士」を選びましょう。
DUONには茨城県エリアを中心に、これまで多数の離婚案件を解決してきた実績があります。地元の皆様のため誠意をもって力を尽くす弁護士事務所です。
相手と離婚条件で折り合えずお困りの方がおられましたら、お気軽にご相談ください。

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